「爲春亭」 古川美術館 分館
為三郎記念館

古川記念館の分館「爲三郎記念館」は、名古屋の地下鉄・池下駅から歩いて数分。一歩足を踏み入れると、まるで時が止まったかのような佇まいに出会うことができます。歴史を感じさせる 「爲春亭」の数寄屋造りと緑に囲まれた日本庭園の美しい調和―。現代の喧騒を忘れさせてくれる貴重な空間です。

 「爲三郎記念館」は、古川美術館の初代館長であり、名古屋を代表する実業家だった故・古川爲三郎氏の屋敷を一般公開したものです。急勾配の斜面に建てられた数寄屋造りの母屋「爲春亭」日本庭園、 茶室「知足庵」からなっています。

 爲三郎氏は、1956年に日本ヘラルド映画(現・角川ヘラルド・ピクチャーズ)を創業し、一代で日本を代表する映画配給会社へと育て上げ、約30社からなるヘラルドグループを築きあげた人物。1988年にはアメリカの経済誌『フォーチュン誌』に、「世界最高齢の富豪」として取り上げられ話題を呼んだとか。
 そんな爲三郎氏は、戦後まもなく料理旅館として使われていた建物を買い求め、平成5年に103歳で他界するまで住み続けました。そのお屋敷が平成7年から「爲三郎記念館」として公開されており、古川美術館の分館として共通入場券で見学することができます。

 私がこの記念館を訪れたのは、夜8時まで開館している金曜日の夕方ごろ。だんだんと薄暗くなっていく時間帯でしたが、少しずつ灯りがついて次第に幻想的な雰囲気に。絵のように美しい庭園を眺めながらコーヒーや抹茶をいただくと極上のひとときです。また、庭園の方から「爲春亭」を眺めて見ても、各部屋から漏れる明かりがほんのりイイかんじ。季節によりますが、なかなかおすすめの時間帯です。


★古川美術館オフィシャルサイト
  爲三郎記念館 見取り図

「爲春亭」と庭園
爲春亭「大桐の間」
コーヒーセット
↑庭園の眺めの素晴らしい「大桐の間」。この窓際に席が設けられており、美しい景色を味わいながらコーヒーやお抹茶を楽しむことができます。
 そのほか、「桜の間」や「浮観の間」などが喫茶コーナーになっています。

 
写真上の左側の棟の下の階の「太郎庵」↓
「太郎庵」室内
「爲春亭」の中庭
「爲春亭」廊下
椎の木と爲春亭

邸宅の創建前前からあったという5本の椎の大木が覆い、四季折々の美しさを醸し出す日本庭園。岩組みを流れる川は、木曽川の「寝覚めの床」をイメージして作られたとか。

椎の木
庭園奥「知足庵」
茶室「知足庵」

「足ることを知る」という利休の教えから名づけられた「知足庵」は、尾張ゆかりの織田有楽斎が建てた犬山市の国宝「如庵」から想を得た茶室。

記念館入口 入口付近
←爲三郎記念館の入口と玄関付近↑

    ★ 古川美術館 ★

初代館長・故古川爲三郎氏が長年にわたって収集し大切にしてきた美術品を公開。横山大観や前田青邨、川合玉堂、鏑木清方をはじめ、近現代の代表的画家の作品を数多く所蔵。

※「爲三郎記念館」は歩いて1分弱

古川美術館